今回お話をうかがったのは、一般社団法人BlessU(所在地:岩手県下閉伊郡山田町、代表理事 中居知子、以下BlessU)のシングルマザーのためのデジタルスキル習得・就労総合支援事業『ステップアップ180プログラム』を修了された伊藤あゆみさんです。岩手県の沿岸部で、高校生・中学生・小学生の3人のお子さんと、母子4人で暮らしています。以前は飲料の配達・販売を個人事業主として約10年続けてきましたが、プログラム修了後にその仕事を卒業。現在は介護施設での事務パート、リモートでの電話業務に加え、BlessUからCMS(ホームページ更新)や納品チェックの業務を受託しています。「行動を止めなくていい、と思える人たちに出会えました」——離婚をきっかけに、生後5か月の末っ子を含む3人を連れて、地元・岩手へUターンした伊藤さん。保育園に入れない、車がない、求人がない。そして、仕事中の交通事故。「絶対に負けてたまるか」という気持ちだけで走ってきた10年の先で、何が変わったのか。その道のりをうかがいました。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A16%E5%B9%B4%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%B2%A9%E6%89%8B%E3%81%A7%E3%80%813%E4%BA%BA%E3%82%92%E6%8A%B1%E3%81%88%E3%81%A6%20%E2%80%94%E2%80%94%20%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AB%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%86%E5%89%8D%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー まず、研修に参加する前の暮らしと働き方を教えてください。伊藤さん: 子どもは3人で、上から男の子、男の子、女の子。実家を出て、私と子どもたち3人の4人で暮らしています。当時は、飲料の配達・販売がメインで、飲食系のフランチャイズに加盟してキッチンカーを出す副業もしていました。どちらも業務委託の仕事でした。ー 岩手に戻られたのは、どのような経緯だったのですか。伊藤さん: 離婚をして、2015年に岩手県にUターンしました。高校卒業からずっと関東で暮らしていたので、地元に戻るのは16年ぶりでした。最初は実家に身を寄せましたが、ほどなく祖母が住んでいた家が空いて、子どもたちとそこへ移りました。ー 16年ぶりの地元の暮らしは、いかがでしたか。伊藤さん: ひとつひとつに関東との違いを感じて、ショックを受けました。関東で住んでいた自治体では、保育園の入所選考の点数表が公開されていました。何点あれば入園できるのか、自分の家庭は何点なのか、自分で計算できたんです。でも岩手に戻ったら、そういうものが見当たらない。何をどう準備すれば預けられるのか、手がかりがありませんでした。歩く道も違いました。歩道が途切れていたり、アスファルトがひび割れてガタガタだったり。ベビーカーの前輪が引っかかって、抱っこに切り替えて歩くことが何度もありました。そして、求人情報を開いても、載っている数がそもそも少ない。「この中から選ぶんだ」と思ったのを覚えています。ー その中で、配達の仕事を選んだ理由は何だったのでしょうか。伊藤さん: 正直、選べる余地がありませんでした。戻ってきたとき、末っ子はまだ生後5か月。でも待機児童の問題があって、保育園には入れませんでした。子どもを預けて働ける選択肢は、託児所のある配達の仕事しかなかったんです。そのあと、収入を増やすためにキッチンカーの副業も始めました。ー そのころ、困っていたこと、不安だったことは何でしたか。伊藤さん: 一人で子ども3人を育てていくこと、そのものですね。車を持っていなかったので、保育園児と小学生を連れて、抱っこしたりベビーカーを押したりしながら送り迎えをしていました。分かってはいたことですが、物理的な時間のなさが本当に大変でした。関東と違って目的地までの距離が長いし、公共交通機関もほぼない。こちらでは一人1台、車が当たり前なんです。でも、「やってやる」「絶対に負けてたまるか」という気持ちだけでやっていました。子どもたちが可愛かったので、それがエネルギーでした。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E6%B8%9B%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8F%E8%B2%AF%E9%87%91%E3%81%A8%E3%80%81%E9%9B%AA%E9%81%93%E3%81%A7%E7%97%9B%E3%82%80%E8%B6%B3%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー 「このままではいけない」と思ったのは、どんなときでしたか。伊藤さん: いちばん大きかったのは、お金です。配達の収入だけでは、毎月少し足りません。その差額を貯金から出して埋めていました。ひと月ではわずかでも、積み重なれば残高はじりじり減っていきます。ある時点で気づきました。足りない分を埋めるのではなく、収入そのものを増やさないといけないんだと。ー 勤めに出るという選択は、考えましたか。伊藤さん: 考えました。でも、3人の歳が少しずつ離れているので、通う学校も3か所。運動会も授業参観も懇談会も、それぞれ別の日にあります。そのたびに「すみません、休ませてください」と言う自分を想像すると、正社員としてやっていける自信がなくて。職場にも迷惑をかけてしまうと思いました。それで、勤めに出るのではなく、自分の裁量で時間を決められる仕事——個人事業主としてできる副業を探すことにしました。ー もうひとつ、大きなきっかけがあったそうですね。伊藤さん: 配達の途中で、交通事故に遭いました。足を痛めただけでなく、商売道具である車まで失いました。個人事業主なので、仕事中の事故でも労災は使えません。それでも配達は止められないので、足を引きずりながらお客さまの家を回りました。この地域は一軒一軒が遠く、冬は雪道です。寒さのせいか痛みも引かなくて、長い距離を足で稼ぐこの仕事は、もう続けられないと感じました。ただ、個人事業主という働き方そのものは、やってみたら意外と楽しかったんです。自分で段取りを決めて動ける。そんな働き方があるのだと、初めて知りました。ー 事務のご経験もあると伺いました。関東にいたころは、どんなお仕事を?伊藤さん: 大きく3つです。学生時代のアルバイト経験から飲食店のホール、それから事務系の派遣社員、そして介護施設での清掃や利用者さんのお世話。結婚、出産と、そのつど仕事が変わっていきました。同じ仕事を続けて積み上げていく、という形にはなりませんでした。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E3%80%8C%E3%83%91%E3%82%BD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%81%8C%E8%8B%A6%E6%89%8B%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%81%A7%E3%82%82%E5%8F%82%E5%8A%A0%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%80%8D%E2%80%94%E2%80%94%20%E5%AD%A6%E3%81%B3%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%89%E5%A0%B1%E9%85%AC%E3%82%92%E5%BE%97%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー BlessUのプログラムは、どうやって知ったのですか。伊藤さん: Instagramを見ていたら、おすすめの投稿に「2期生募集中」と流れてきたんです。探して見つけたわけではなく、たまたまでした。ー そのとき、すでに別の講座を受けていたそうですね。伊藤さん: はい。岩手県のデジタル人材育成の講座を受けている最中でした。そこで知ったのが、同じ個人事業主でも、スキルを身につけてデスクワークで仕事を取っている人たちがいるということ。自分もそうなりたいと思いました。ただ、クラウドソーシングのようなプラットフォームで、実績のない状態から仕事を取るのは、正直むずかしそうだと感じていました。ー その中で、BlessUのプログラムに申し込んだ理由は何だったのでしょうか。伊藤さん: 募集の案内に、私が惹かれることが2つ書いてあったんです。ひとつは「パソコンが苦手な人でも学べる」こと。もうひとつは、「学びながら実務に入って報酬も得られる」こと。学ぶだけで終わらず、仕事につながる。それが決め手になりました。しかも、学ぶ拠点は地元です。ぜひ学びたいと思って、申し込みました。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E3%80%8C%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8C%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E5%AD%A6%E7%BF%92%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー 研修は、どんなところから始まったのですか。伊藤さん: 「これがマウスです」「右クリック、左クリック」。本当にそこからでした。正直、「これで報酬を得られる状態になるんだろうか」と思いました(笑)。ー 今振り返ると、そこから始まったのは良かったですか。伊藤さん: 良かったと思います。私はパソコンを実務の中で見て覚えてきただけで、きちんと学んだことがなかったんです。「だいたい分かっている」つもりでいた中に、知らないことがちょこちょこありました。プレーンテキストでの貼り付け方も、ショートカットキーも。基礎から順番に教えてもらえたのは、大きかったです。ー 課題もあったそうですね。伊藤さん: 進むにつれて、内容はどんどんレベルアップしていきます。いちばん覚えているのは、HTML(Webページを作るための記述言語)の講座の課題です。できたと思って提出すると、「うまくいっていません」とフィードバックが返ってくる。直して出す。また返ってくる。「また失敗した」と落ち込みました。それでも講師の方が根気よく、何度も付き合ってくださったんです。忘れられない思い出です。ー ほかに、今の仕事に活かされている学びはありますか。伊藤さん: Googleスライド、ファイルの共有リンクなどGoogleWorkspaceの使い方です。スプレッドシートやドキュメントに文字を入力したことはあったのですが、「こうやってチームで一緒に使うんだ」と知ったのは初めてでした。今、いろいろな業務で活用しています。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%92%E6%8A%BC%E3%81%99%E6%89%8B%E3%81%AF%E3%80%81%E4%BB%8A%E3%82%82%E9%9C%87%E3%81%88%E3%82%8B%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー 「いけるかもしれない」と手応えを感じた瞬間はありましたか。伊藤さん: 講座が進むと、BlessUの業務で実際に使う内容が入ってきます。制作したホームページの納品前チェック、CMSのサイトに入っての作業です。それが出てきたとき、「全くやったことのない世界だけれど、こういうことがお仕事になるんだ」と知りました。HTMLは、実はずっとやってみたかったことでした。勉強してみたら頭がフリーズするくらい難しいですが、楽しいです。学べば学ぶほど、ページに反映されたときの完成度が上がるんです。奥が深いので、まだまだ勉強が必要だと思っています。ー 実際の業務では、どんな気持ちで取り組んでいますか。伊藤さん: 公開ボタンを押すとき、いまだに手が震えるんですよ。このボタンを押したら、世界中の人が見られる状態になる。そう思うと、マウスを持つ手に力が入ります。反映された画面を開いて、意図したとおりに表示されているのを確認できたときに、やっと「おーっ」と声が出ます。何度やっても慣れません。緊張感のあるお仕事です。ー 研修の内容やサポートで、特に良かった点はどこですか。伊藤さん: 2点あります。ひとつ目は、初心者向けから実務レベルまで、幅広く学べたことです。それから、課題の提出も出欠の連絡もSlackで、講座はZoomを使うなど、研修中から、実際の仕事で使うツールに触れたことです。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E5%A3%B0%E3%81%8C%E8%81%9E%E3%81%93%E3%81%88%E3%82%8B%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%81%A7%20%E2%80%94%E2%80%94%20%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E2%80%9C%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A1%E3%82%83%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%AE%B6%E6%97%8F%E2%80%9D%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3E「なんちゃって家族」に出会える第二の家 リタニティハウス ー BlessUには拠点「リタニティハウス」があります。居場所があることで、良かったと感じたことはありますか。伊藤さん: 私はリタニティハウスができる前に受講を開始したので、完成したときは「こんな素敵な建物で勉強したり、お仕事したりできるんだ」と感動しました。リタニティハウスで研修をしていると、隣の部屋から小さい子の声が聞こえてくるんです。『ステップアップ180プログラム』には託児がついています。私はもう子どもが大きいので利用していないのですが、それを聞きながら勉強したり仕事をしたりできる環境は、なかなかないですよね。BlessUには「なんちゃって家族」という言葉があるのですが、本当にそんな感じです。小さい子たちは可愛いし、若いお母さんたちも可愛くて。血はつながっていないのに、家族のような関係ができていく。それが嬉しいんです。リタニティハウスの庭には花だけでなく鳥の巣もー それまで、地元でひとり親のお母さん同士のつながりはありましたか。伊藤さん: 思えば、なかったですね。子どもが通うスポーツ少年団のお母さんで同じシングルの方と、送迎を助け合うくらいでした。びっくりしたのは、BlessUで顔を合わせた方が、子どもの同級生のお母さんだったことです。「えっ」と声が出ました。私は自分がシングルマザーであることをオープンにしていますが、相手の方の事情までは知りません。声をかけていいのか一瞬迷いました。でも目がばっちり合ってしまって、思い切って声をかけました。今は、気軽に話す仲です。こういうことが起きるのは、集まれる場所があるからだと思います。ー 業務以外のお話もするのですか。伊藤さん: もちろんです。子どもの話、それに恋バナも。女子の集まりだなあと微笑ましく思います。私は集団の中でたくさんしゃべる方ではないので、ちょこちょこ相づちを打つくらい。それでも、聞いているだけで楽しいんです。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E3%80%8C%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%8C%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%80%81%E8%A8%80%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー 難しかったこと、つまずいたことは何でしたか。伊藤さん: 学びでは、時間の確保でした。私の場合、仕事や子供の送迎などの都合で現地受講が出来ない回が多かったのですが、オンラインやアーカイブ視聴で受講ができて助かりました。子どもたちが寝たあとに机に向かう。それでも課題の提出はいつもギリギリで、「なんとか修了できた」という感じでした。業務でいちばん難しいのは、分からないことを文字で伝えることです。オフィスにいれば、画面を指さして「ここが分かりません」で済みますよね。でもリモートの環境では、画面のどこで何が起きているのかを、画像を貼ったり箇条書きにしたりして説明しなければいけません。私はそれが下手で、伝えたつもりでも伝わっていないことがありました。何度も挫折しそうになりました。ー 何度も挫折しそうになりながら、どうやって続けてこられたのですか。伊藤さん: 受講中の支えは、Slackの同期のチャンネルでした。深夜に開くと、同じように課題を出している人がいる。「みんな頑張ってるな、私もやろう」と思えました。業務のほうは、一定期間、リタニティハウスに通わせてもらいました。マンツーマンで教わるのではなく、同じ空間でそれぞれ作業して、分からなくなったら声をかける。そういう時間を取ってくださったんです。間違えて「すみません」と気まずくなっているときも、代表の中居さんはあたたかく迎えてくれます。大阪のリタワークスさんも、“おかわり受講”といって後輩の期の方と一緒にもう一度学ばせてくださったり、今もオンラインでサポートしてくださったり。お世話になった人たちとの縁を大切にしたい。その気持ちで続けています。ー 研修を通じて、ご自身の考え方に変化はありましたか。伊藤さん: 学んだ内容もですが、このプログラムで出会った方々の影響が大きかったです。BlessUに集まっているのは、私と同じようにひとりで子どもを育てながら、それぞれの場所で頑張っている方たちです。その中でも、代表の中居さんがとにかくかっこいい。「最強の母ちゃん集団を作ろう」。中居さんのこの言葉が、私はすごく好きなんです。行動を止めなくていい、と思える人たちに出会えたことが、私にとっていちばんの変化でした。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E3%80%8C%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%80%8D%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%81%E3%82%82%E3%81%86%E4%B8%80%E6%AD%A9%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー 修了後、10年続けた配達の仕事を辞められたそうですね。伊藤さん: はい。修了したあと、BlessUからお仕事をいただけると分かったことが決め手になりました。足が痛むなか続けていた仕事です。それに、10年近くやってきて、この先どこまで稼げるかという上限が見えていました。どこかで踏み出さなくてはいけないと、ずっと思っていました。ー 重い決断だったのではないですか。伊藤さん: スキルを身につけたという自信が、背中を押してくれました。新しいことを覚えて、挑戦していこう。そう思えたのが大きかったです。踏み出さなくてはと思っていたタイミングで、BlessUの講座を受けた。だから、思い切れました。ー 事務のパートも始められたそうですね。伊藤さん: 午前中だけ、地元の介護施設で事務をしています。事務の経験はあるのですが、ブランクが10年以上あるんです。この10年でデジタルは進んでいるはずで、ついていけるだろうかと不安でした。でも学んだことで、「面接を受けてみようかな」と思えたんです。ー 今は、全体としてどんな働き方になっていますか。伊藤さん: 午前は介護施設の事務。それ以外の時間に、リモートでのテレフォンアポイントのお仕事、BlessUからいただくCMSの更新作業と納品チェック。さらに、ご縁のある企業さんや団体さんから、スポットでお仕事を受注しています。いろいろな地域の方とつながりながら働けるようになった。それが、いちばん大きな変化です。ー 研修で身につけたスキルは、どのように役立っていますか。伊藤さん: CMSや納品チェックは、BlessUの業務でそのまま使っています。それ以外だと、Slack、Zoom、資料の共有の仕方、ビジネスメール。地元の企業で働くのもいいと思っていますが、私はいろいろな地域の人と関わって働きたいんです。リモートの仕事では、「チャットツールは使えますか」が入口の条件になります。そこで、BlessUで学んだことが活かされています。ー BlessUの業務は、今どのくらいのペースですか。伊藤さん: 正直に言うと、今はほかの業務との兼ね合いで、手が止まり気味です。ノルマがないのはありがたいのですが、やらなければ上達しません。もっとやれるように頑張りたいと思っています。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AB%E3%80%8C%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%88%E3%82%8A%E3%80%8D%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%88%E3%82%8B%E6%97%A5%E3%81%8C%E5%A2%97%E3%81%88%E3%81%9F%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー お金以外に、暮らしや気持ちで変わったことはありますか。伊藤さん: 子どもが学校から帰ってきたとき、家にいて「おかえり」と言える日が増えました。子どもの一人は、学校にいられる時間が短くなる日があったり、通院が必要なタイミングがあったりします。今の働き方なら、そういうときに動けます。以前は、出先から急いで戻るしかありませんでした。ただ、挑戦したいことがたくさんあるので、仕事をしている時間そのものは、前より増えたかもしれません。ー 働くことへの気持ちは、変わりましたか。伊藤さん: もともと働くのが好きなので、根っこは変わっていません。変わったのは、人との出会いをより一層ありがたいと思うようになったことです。いただいたご縁を、仕事で返していきたい。その思いが強くなりました。BlessUさん、BlessUの活動に支援してくださる団体や企業さん、大阪のリタワークスさん、そして沿岸地域のシングルマザーのみんな。顔が浮かぶ人たちが、こんなに増えました。ー 住んでいる地域への気持ちにも、変化はありましたか。伊藤さん: 私、本当は帰ってきたくなかったんですよ。後ろ向きな人が多い地域だと思っていて。でも、このプログラムやリタニティハウスで出会った方々は、ずっと地元にいながら熱い思いを持っている人、自分で動いている人がたくさんいました。そういう方々と出会わせてもらったことに、感謝しています。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E5%B8%B0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%89%E3%80%81%E3%81%8A%E7%9A%BF%E3%81%8C%E5%85%A8%E9%83%A8%E7%89%87%E4%BB%98%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー お子さんにも変化はありましたか。伊藤さん: つい先日、末の娘が親孝行をしてくれたんです。仕事が増えて、夜に1時間だけ、職場のミーティングで出かけなければならない日がありました。帰ってきたら、シンクが空っぽで、お皿が全部洗って片付けてあったんです。私自身、家事を当たり前にやらされる家庭で育ってきたので、子どもには無理にさせたくなくて、頼んだことは一度もありませんでした。それを自分からやってくれた。「最近お母さん忙しそうだな」と、子どもたちなりに察して動いてくれたんだと思います。成長もあると思いますが、私の変化に伴って、子どもたちも変わってきていると感じます。ー 上のお二人は、今年ダブル受験だそうですね。伊藤さん: そうなんです。長男は県外の学校に行きたいと言っています。次男は8月に中学の部活を引退しました。二十数年ぶりに県大会ベスト4に入って、たくさん泣かせてもらいました。母としてできるのは、背中を押してあげられる自分の姿を見せることかなと思っています。ー お子さんたちが巣立ったあとのことは、考えますか。伊藤さん: 一人で3人を育ててきたこの10年、正直「お腹いっぱい」なんです(笑)。ちょっと前までは、早く大きくなって離れてほしいと思っていました。いざとなると寂しさもありつつ、離れたら思いっきり仕事してやるぞ、という気持ちもあります。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E9%AD%9A%E5%B1%8B%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%88%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8C%E6%9D%A5%E3%81%A6%E3%80%81%E8%A9%B1%E3%81%97%E8%BE%BC%E3%82%93%E3%81%A0%E6%97%A5%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー リタニティハウスで生まれたつながりは、伊藤さんにとってどんな存在ですか。伊藤さん: 人と会って話すことが、私にとって何よりのエネルギーになっています。ある日、リタニティハウスに業務をしに行ったら、近所の魚屋さんのお父さんがふらっと入ってきて。結局、ずっとお話ししていました。仕事の場なのに、そういう地域のつながりが生まれる。いいなあと思いました。家にこもって電話の仕事ばかりしていると、気が滅入る日もあります。でも中居さんのところに顔を出すと、めちゃくちゃ元気になるんです。同じようにCMSでつまずいているメンバーと「これ難しいよね」と言い合えたりもする。そういう時間が、あたたかくて力になります。ー これから挑戦したいこと、目指している姿を教えてください。伊藤さん: 地元にとらわれず、いろいろな人と出会って、いろいろな人と仕事をしていく自分になりたいです。今はまだ道半ばです。思っている収入には届いていないし、思ったクオリティの成果物を出せなかった業務もあります。まずはBlessUの業務を、しっかりできるようになりたいです。ー その先に、届けたいことはありますか。伊藤さん: 「こんなシングルマザーもいるんだ」「地方でもこういう働き方ができるんだ」。そう知ってもらえたらと思っています。かつての私は、そういう人を一人も知りませんでした。だから、一人にでも届いたら嬉しいです。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E3%80%8C%E5%85%83%E6%B0%97%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%8D%E3%81%A8%E8%A8%80%E3%81%84%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E4%BA%BA%E3%81%8C%E3%80%81%E5%BC%B1%E9%9F%B3%E3%82%92%E5%90%90%E3%81%91%E3%82%8B%E5%A0%B4%E6%89%80%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー かつてのご自身と同じように悩んでいる方へ、伝えたいことはありますか。伊藤さん: 今、とても辛い時だと思います。でも、時間は1分ずつ進んでいきます。だから、1歩ずつ前に進むこともできます。同じような思いをしてきた私たちも、ここにいます。自分が動けば、自分の暮らしは変わります。勇気を持って、進んでほしいです。ー 伊藤さんご自身は、当時「助けてほしい」と言える方でしたか。伊藤さん: 言えませんでした。弱音を吐くのが苦手で、全部抱え込んで、人の前では「元気です」という顔をしていました。それが、リタニティハウスに行くと、なぜかさらけ出せたんです。ー なぜでしょうね。伊藤さん: たぶん、代表の中居さんが飾らない人だからだと思います。いつもそのままの姿でいて、それでいてすごく素敵なんです。その姿を見ていると、「私も、このままでいていいのかな」と思えてくる。それに、あの場に集まっているのは、みんな同じように子育てを続けてきた人たちです。背景はそれぞれ違うけれど、同じ講座を受けて、同じところでつまずいた。その経験を分かち合えたことが、そうさせてくれたのかもしれません。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%80%81%E6%8C%91%E6%88%A6%E3%82%82%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eー この研修を休眠預金という形で支えてくださった方々へ、届けたい言葉はありますか。伊藤さん: 大切な仲間と、大切なスキルを身につけることができました。ありがとうございます、とお伝えしたいです。世の中にはいろいろな課題があります。これからも、そういうところに休眠預金という形で支援いただけると、本当にありがたく思います。ー ひとり親家庭のお母さんたちがより働きやすくなるために、企業や自治体、社会には何ができると思いますか。伊藤さん: まずは、シングルマザーの暮らしを知っていただくことだと思います。私自身、離婚するまでは、シングルマザーがどんな生活をしているのか知りませんでした。当事者になるまで分からなかったんです。だから、自分の身近にもいるかもしれない「ひとり親」の現状について知ってもらうことが、最初の一歩になると思います。それから企業や自治体には、スキルを身につけた先の時間や住む場所に縛られずに働ける仕組みをつくっていただきたいです。そして、そういった働き方があることを広めてほしい。知らなければ、挑戦しようとも思えません。「やってみたい」と思う人が増えていけば、ひとり親家庭のお母さんに限らず、様々な方の働きやすさも変わっていくはずです。ー オフィス回帰でリモートワークが減っているという声もあります。場所を問わない働き方は、今後も必要だと思いますか。伊藤さん: 必要だと、強く思っています。体は1つしかありません。子どものことをしている間は、仕事ができないんです。リモートワークであれば、通勤に使っていた時間を、30分でも1時間でも仕事に回せます。それに地域に住んでいると、通勤には学校や部活や習い事の送迎がセットでついてきます。バスの便も少ない。子どもの人数が増えるほど、会社に出て働くハードルは高くなります。ー 最後に、伝えたいことがあればぜひ。伊藤さん: 私自身、リタニティハウスで学べて、楽しくて、力もついて、明るくなれました。中居さんは私より年下なんですけど、頼れるお姉さんのように思っています。どんどん挑戦を続けていく中居さんの背中を追いかけて、私も頑張ります。これからも、よろしくお願いします。ー 伊藤さん、ありがとうございました。「絶対に負けてたまるか」。16年ぶりに戻った地元で、生後5か月の末っ子を含む3人を抱えた伊藤さんを支えてきたのは、その気持ちでした。けれど、弱音を吐けないまま走り続けるには、10年はあまりにも長い時間です。業務中の交通事故、そして一人で踏ん張る働き方の限界が見えたとき、伊藤さんの前に現れたのは、学ぶ場所であり、飾らずにいられる場所でもあるリタニティハウスでした。「帰ってきたくなかった」まちで、「行動をし続けよう」と思える人たちに出会う。学びで得たスキルは自信にもなり、10年続けた仕事を卒業する決断にも、ブランクのある事務職への応募にもつながりました。そして、忙しくなった母の背中を見て、娘さんが黙って皿を洗ってくれた。変化は、伊藤さん一人のものではありませんでした。「こんなシングルマザーもいるんだ」と誰かに届けたい——伊藤さんのこれからが、とても楽しみです。%3Cdiv%20style%3D%22background-color%3A%20%23f9a29a%3B%20padding%3A%2020px%2040px%3B%20text-align%3A%20left%3B%22%3E%0A%20%20%3Cspan%20style%3D%22color%3A%20%23cc0000%3B%20text-decoration%3A%20underline%3B%20font-weight%3A%20bold%3B%20font-size%3A%2024px%3B%20line-height%3A%201.5%3B%22%3E%0A%E9%80%A3%E6%90%BA%E3%83%BB%E5%8D%94%E5%8A%9B%E3%81%AB%E9%96%A2%E5%BF%83%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93%E3%83%BB%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E6%96%B9%E3%81%B8%0A%20%20%3C%2Fspan%3E%0A%3C%2Fdiv%3Eグラミン日本の休眠預金等活用事業(2023年度採択)のもとで実施している 一般社団法人BlessUの『ステップアップ180プログラム』では、デジタルスキル研修と就労支援を行なっています。人材採用や人材育成などの連携・協力先となる自治体や受け入れ企業についても随時募集しております。一般社団法人BlessUのお問い合わせよりお願いいたします。◆主催◆一般社団法人BlessU(ブレス・ユー)【お問い合わせ先】メールアドレス:info@mothers-blessu.orgTEL:0193-65-8286 / 080-9250-1214コーポレートサイト:https://mothers-blessu.org/ステップアップ180プログラム特設サイト:https://janpia.mothers-blessu.org/index.htmlInstagram:https://www.instagram.com/blessu.inc/下記の公式LINEからも問い合わせ可能です。※「ステップアップ180プログラム」は、休眠預金等の活用による民間公益活動促進のための助成事業となります。休眠預金等活用法に基づき、指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構(所在地:東京都千代田区、理事長:二宮雅也)より資金分配団体に指定された一般社団法人グラミン日本(本社:東京都中央区、理事長:百野公裕)が公募した「デジタルスキル研修&就労支援を通じたシングルマザーのエンパワーメントと地域格差の解消」事業の一環として実施するものです。